あなたは美容室で「似合うスタイルにしてください」と言ったことがありますか?
このセリフは美容師さんの事を信頼している証なので、言われた美容師としてはとてもありがたい事です。しかしそのセリフは本当にあなたの事を理解している美容師さんだけに言うようにしてください。
特にあなたの好き嫌いをよく知っている美容師さんだけに言うようにしないと後悔してしまうかもしれません。
これを聞くと「好き嫌い」と「似合う」は別では?と思うかもしれませんね。
確かに別であることは間違いないのですが、実はアナタ自身が「好き嫌い」と「似合う」を混同してしまっているかもしれないのです。
なので、それをちゃんと指摘してくれる美容師さんになら「似合うスタイルにしてください」と言ってもいいと思います。
美容師が考える似合うとは?
まず、私達美容師が考える「似合う」を説明していきます。
ヘアカタログなどで、丸顔のあなたはこのヘアスタイルがお似合いですとか、面長は…、四角型は…、ベース型は…、逆三角の方は…といったように顔の形ごとに似合うスタイルが紹介されているのを見たことがあると思います。
あれは全て「黄金比率」「菱形」「顔のパーツ」などを意識した考え方です。
黄金比率
黄金比率というのは、「1:1.618」(約5:8)の比率の事なのですが、この比率が最も美しい、あるいは落ち着く比率とされています
この比率は多くの芸術作品や建造物にも使われていますし、身近なところではタバコの箱やゲーム機の画面などにも使われています。
これをヘアスタイルでどう活用しているのかと言いますと、例えば面長の方は前髪を作ったり、丸顔の方は前髪の周りを長くして、頬にかかるようにして顔の形を黄金比率に近づけたりします。(アイドルの方達がよくやっているアレです)
菱形
そして菱形というのは、ヘアスタイルのシルエットを菱形にすると綺麗なスタイルになり易いと言う考え方です。
顔のパーツから考える
「黄金比率」や「菱形」以外にも、例えば目が離れている方は前髪をMの字型にすると補正できたりします。
以上3つの考え方が無難です。
以上3つの考え方を元にヘアスタイルを作れば無難に似合うので、まだ好き嫌いを把握できていないお客様(特に新規のお客様)から「似合うスタイルにしてください」と言われた時は、これらの考え方を元にしたスタイルを提案する美容師さんが多いと思います。
では、なぜ不満が出るのか?
先程もお伝えした通り、上記3つの考え方を抑えておけば無難に似合うスタイルは完成しますが、これらがお客様が気に入るかどうかは別問題なのです。
つまり、今説明した「似合うスタイル」にしたところで、お客様が嫌いなスタイルであった場合は、当然お客様は残念な気持ちになります。
別の言い方をすると、お客様は「似合うスタイルにして下さい」とお願いすれば、お客様の好きなスタイルにしてくれると思っているとズレが生じる可能性がありますよという事なんです。
なので最初にお伝えした通り、お客様の「好き嫌い」を理解している美容師さんに「似合うスタイルにしてください」と言えば、あなたの好きなスタイルの中から「黄金比率」「菱形」「顔のパーツ」を考慮してくれるという事なのです。
無難が嫌いな美容師もいる
それと、ぶっちゃけ黄金比率やひし形などの考え方だけでスタイルを作っていっると面白くないので、出来るだけこの考え方から外れた似合うスタイルに挑戦している美容師も多いと思います。(私もその内の一人です)
こうなってくると、一般的な「似合う」の定義が無くなり、美容師の持つ感性であったり、直観的なイメージでヘアスタイルを提案することになりますので、当然個人的な好みに傾いてきます。
こういったスタイルを美容師が提案する場合、既に熱烈なファンになってもらっていれば、その美容師の作ったスタイルは全て気に入ってもらえることでしょう。
この領域は美容師として理想ですが、残念ながらこの領域に達していない内から感性や直観的なイメージでスタイルを作ってしまうので期待外れの結果になってしまい、掲示板やQ&Aサイトで不満を爆発させるなんてことも考えられます。
なので、やはり事前のカウンセリングで好き嫌いを伝えておく方が満足していただける確率は上がるはずです。
まとめ。
なんだか上手そうな美容師さんだからという理由だけで「似合うスタイルにしてください」と言ってしまうと失敗する可能性が高いです。
「似合うスタイルにしてください」とか「おまかせ」というセリフは、その美容師さんの作るスタイルなら文句はないという状況以外は使わないことをおすすめします。