炭酸シャンプーに炭酸は入ってない?|本当に炭酸効果を得たいなら知っておくべき選び方と科学的根拠

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「炭酸シャンプー」や「炭酸ヘッドスパ」などが話題になることがありますが、実際にそれらの商品に炭酸は入っているのでしょうか?また、入っている場合は炭酸の効果はあるのでしょうか?

この記事では、炭酸シャンプーの種類と実態、そして真に炭酸効果を得る方法を科学的な視点から解説します。

1. 炭酸とは何か?美容での意味と定義

「炭酸」とは、二酸化炭素(CO2)が水に溶けて、炭酸(H2CO3)という弱酸を形成している状態を指します。

この溶解中の状態であれば、皮膚や頭皮の血行促進や洗浄力の向上といった美容効果をもたらすとされています。

しかし、炭酸は非常に不安定で、常温常圧ではすぐにCO2として気化してしまいます。

そのため、炭酸効果を期待するには、「いかにこの状態を維持したまま使用できるか」が大きなポイントとなります。

では、世の中の炭酸シャンプーは果たしてその基準を満たしているのでしょうか?

2. 炭酸シャンプーの分類と実態

炭酸シャンプーには以下の3タイプがあります:

  • ① 通常のプラスチックボトルの液体シャンプー
  • ② エアゾール式(スプレー缶)タイプ
  • ③ 炭酸タブレットや炭酸水と併用するのもあり

 

このうち、特に①の通常のプラスチックボトルの液体シャンプーは、「炭酸泡」や「清涼感」といった使用感を演出しているだけで、実際には炭酸(二酸化炭素)が配合されていないケースもみられます。

中には、使用時にパチパチと音を立てたり、モコモコとした泡が発生したりする製品もありますが、それらは炭酸による反応ではなく、LPG(液化石油ガス)や発泡剤によって人工的に作られた演出です。

仮に成分表示に「CO₂(二酸化炭素)」の記載があったとしても、通常のボトル容器では炭酸を安定的に溶解・保持することはできませんので、炭酸としての効果は実質的には発揮されないと言えます。

 

3. 科学的に本物の炭酸が含まれる製品はあるのか?

本当に炭酸を含ませるには、加圧密閉容器と低粘度で不活性な設計が必要です。

この条件を満たせるのは、現状エアゾール式だけです。

繰り返しになりますが、通常のボトルでは炭酸の効果を維持するのは極めて困難であり、実質的には“炭酸配合”とは名ばかりの状態になっているケースが大半です。

エアゾール式炭酸シャンプーについて

エアゾール式炭酸シャンプーとは、加圧容器に炭酸ガスを封入し、使用時に泡として噴出する仕組みで、代表的な製品には以下があります。

 炭酸タブレットや炭酸水との併用という選択肢

市販の炭酸タブレットや炭酸水を通常のシャンプー前に使用することで、即席の炭酸泉効果が得られます。

【炭酸と通常のシャンプーの併用で得られる具体的な効果】
  • 毛穴の皮脂を浮かせて除去
  • 血行促進による育毛環境の改善
  • アルカリに傾いた髪を弱酸性に戻す
  • 頭皮のニオイやベタつきの軽減

4. 本当に効果を求める際のチェックポイント!

  • 成分表に「CO₂(二酸化炭素)」の記載があるか

  • 容器が加圧式であるか(スプレー缶タイプなど)

  • 炭酸タブレットや炭酸水との併用も検討する価値がある

まず基本として、成分表にCO₂が記載されていることを確認し、加圧式容器の製品を選びましょう。

また、市販のシャンプーと炭酸水やタブレットを併用する方法もありますが、注意点があります。

たとえばペットボトルの炭酸水は開封後すぐにCO₂が抜けやすく、毎回使い切るとコスト面で不利です。

一方で炭酸タブレットは安価ですが溶かす手間や時間がかかるため、継続使用には向きません。

総合的に考えると、CO₂が成分として含まれた加圧式シャンプーが、手軽さ・効果・コストのバランス面で最もおすすめです。

 

 

ネット上のレビューについて

ネット上では、通常のボトルタイプの炭酸シャンプーを推奨する記事を多く見かけます。

しかし、ここまで解説してきたとおり、その効果に関する科学的根拠は乏しく、実際には「炭酸風の使用感」を求める方向けの商品であると言わざるを得ません。

また、「効果はすぐに出ないので、長期的に使い続けましょう」といった意見もしばしば見受けられますが、この考え方についても科学的には疑問が残るものです。

何度もお伝えしている通り、炭酸(二酸化炭素)による美容効果とは、血行促進や洗浄作用などの即効的な生理反応に基づくものであり、持続性は限定的す。

時間の経過とともにその効果は自然に消失するため、「使い続けることで徐々に効果が現れる」というような理屈は、炭酸の特性とは一致しません

もちろん、毎回の使用によって頭皮や髪のコンディションを良好に保つという意味で、継続使用に“価値”があることは否定しません。

ただし、それは継続することで炭酸効果が高まる、あるいは蓄積されるという意味ではありません。

仮に、ある製品を長期間使用した結果として何らかの変化が現れた場合、それは炭酸以外の有効成分や、生活習慣の変化などの影響である可能性が高く、その因果関係を明確にするには、より慎重な検証が必要です。

さいごに

炭酸シャンプーは「炭酸風の演出商品」と「実際に炭酸が作用する商品」に分かれます。効果を求めるなら、科学的な視点と表示成分の確認が必須です。誤認を避け、自分の目的に合ったものを選びましょう。

橋本純一

-シャンプーについてプロが語ります。, 美容のはなし, 毛髪科学

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